ことばの発達〜個人差ってどのくらい?〜
もうすぐ1歳6ヶ月になろうかというユット君。身振り手振りで意思疎通はバッチリなのですが、未だに「ことば」が出てきません。ことばの発達には個人差があると言いますが、「まだ話せないの?」とか、「もっとたくさん話しかけてあげなくちゃダメだよ」などと周りから言われるとショックですよね(;_;)
そこで今回は、ことばの発達にはどの程度の個人差があるのか、調べてみたことをまとめてみます。
わかるのが先、言えるのは後
当たり前の事かもしれませんが、意味のあることばを話せるようになるためには、まずはそのことばの意味を理解する必要があります。
では、ことばが「わかる」ようになってから「言える」ようになるまでにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。答えは、約6ヶ月。なんと半年ほどのギャップがあるんです。つまり、「わかっている」けれども「言えない」時期が長〜くあるということ。赤ちゃんも、お母さんも、もどかしいですよね。
ことばの発達の標準とは?
標準という言い方は適切でないかもしれませんが、大部分の赤ちゃんは生後何ヶ月くらいに「ことば」を話し始めるのでしょうか。ある研究では、次のような結果が出ています。
①ママ、パパなど意味のある言葉をひとつ言う
9ヶ月すぎ →25%
1歳0ヶ月 →50%
1歳3ヶ月 →75%
1歳5ヶ月 →90%
②ママ、パパ以外に3語言う
1歳1ヶ月すぎ →25%
1歳8ヶ月半 →90%
③ネコ、トリ、イヌ、ウマ、人間の5つの絵のうち、1つの名前が答えられるようになる
1歳6ヶ月 →25%
1歳8ヶ月 →50%
2歳4ヶ月 →90%
④お名前は?と聞かれて名字と名前の両方を言える
2歳5ヶ月 →25%
2歳9ヶ月 →50%
3歳1ヶ月 →75%
3歳4ヶ月 →90%
いかがでしょうか。早い子と遅い子の差が、①では8ヶ月、②では7〜8ヶ月、③では10ヶ月、④では11ヶ月もあります。
そしてユット君はというと、1歳5ヶ月を過ぎても意味のある言葉を話せないので、①の90%には入れず…。ですが、逆に言えば1歳5ヶ月の時点でも、10%の子はまだことばが出てこないということです。
赤ちゃんは「ことば」を話し始めるまでは、『ひとりで立って上手に歩く』ことに脳を使っています。自然に歩けるようになり、『考える』や『話す』に対して脳を働かせることができるようになるのは、1歳半頃。「分かっていることばの数」「言えることばの数」ともにこの頃から2歳半くらいまでの間に爆発的に増えるそうです。
なので、この時期に「言えることばの数が多いか少ないか、同じくらいの子と比べて早いか遅いかにこだわる必要はありません。大人の言うことがよく分かり、ことばだけでなくジェスチャーや表情を含めてコミュニケーションが取れていれば大丈夫。そのうち「言えることば」のほうもついてくるはずです。
ことばの力を伸ばす話し方
無理にことばを引き出そうとする必要はありませんが、ことばの力を伸ばす助けになる話し方をご紹介します。
①ミラリング :
子どもの動作をそのまま真似する(自分がやった事に反応が返ってくるのが楽しい。またやってみようという気持ちにつながる。)
②モニタリング :
子どもが「ア、ア」と言ったら、「ア、ア」と声や音をそのまま真似する(これでいいんだという自信がついて、次々に声を出すようになる。)
③パラレルトーク :
子どもの行動や気持ちを大人がかわりにことばに表す(転んで泣いてしまったら、「痛かったねぇ」というようにかわりに言ってあげると安心する。)
④セルフトーク :
大人が自分の気持ちや行動をことばにする(「おなかがすいたな。おやつにしようかな」というように。
これらのことは、実はみなさんが日頃から無意識のうちにやっていることではないでしょうか。つまり、それで十分なのです!
子どものことばの発達が遅いと、自分を責めてしまうお母さんも多いと思います。けれどもことばの発達は、一人一人違います。早いからいい、遅いから悪いなどということはありません。わが子の成長を見守りつつ、一緒に楽しく、笑って過ごしたいですね。
※この記事は下記の資料を参考にしています。